内向的クエストⅠ

内向型道産子が東京で胸を張るブログ。

新海誠作品『秒速5センチメートル』を振り返って、就職前の自分を内観してみた。

 

「秒速5センチなんだって」

 

「桜の花の落ちるスピード」

 

 

どうも、じょん(fffff3434)です。

 

 

「君の名は。」で有名になった新海誠監督の映画で、僕が特に好きなのは「秒速5センチメートル」です。「切ない」「鬱になる」という感想が多い作品ですが、本当はそれだけじゃありません。

 

今回は「秒速5センチメートル」という名作を振り返りつつ、自分の過去と、実際に会社で働くまでの空白期間を過ごす今の自分を見つめ直していこうと思います。

 

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『秒速5センチメートル』との出逢い 

 

この作品と出逢ったのは、大学に入学した4月。北海道の田舎から京都にやってきて、初めてできた友人が僕の下宿先に遊びにきた時に教えてもらったことがきっかけでした。「このアニメ、じょん(僕)に見てほしいなぁ」と薦められたことを覚えています。

 

その時は薦められた理由が分かりませんでしたが、約3ヶ月後に「秒速5センチメートル」をようやく見終えてから、何となく、理解しました。主人公の男の子が、僕と少し重なるモノがあったからです。なぜなら……

 

 

当時の僕には、

北海道に彼女がいて、

遠距離恋愛の真っ只中でした。

 

 

京都⇔北海道の超遠距離恋愛でした。お金がない大学生が気軽に会いに行けるような距離ではありません。それでも交際してくれていた彼女との出逢いも振り返りたいと思います。若干記憶が"おぼろげ"な高校時代の思い出が、更に"おぼろげ"になる前に文字にしておきます。

 

僕の高校時代の話。

 

地味でモテない高校生活を送ってきた僕に、最後の1年だけ彩りを与えてくれたのが、その彼女でした。付き合う前、高3で初めて同じクラスになったものの、僕にとっては元から気になっていた存在でした。気になっていた理由は「かわいい」から。単純な男です。はい。

 

同じクラスになってから、文化祭などの学校行事を通じて彼女のメールアドレスを知り、直接、話す機会は多くなかったものの、たまにメールする関係になりました。どうにかして話しかけたり、メールをするための口実を探していたのを覚えています。

 

高3の夏休みには、僕はその子に会う機会を作るために、電車とバスを乗り継いだ先にある自習室に毎日通っていました。その時はまだ付き合ってはいないものの、勉強の合間に、お互いにたどたどしく話をするような、甘酸っぱい関係だった気がします。今思えば、僕と彼女が自習室に通う理由は同じだったのかもしれません。

 

夏休みが終わってからは、放課後に2人で勉強しようと誘いかけてみたり、誕生日プレゼントを貰ったり、更に関係性は深くなっていきました。しかし、一歩踏み出す勇気のない僕は、フラれるのが怖くて、告白しないまま大学受験が終わり、なんと卒業式を迎えてしまいました。僕は、草食系の極みバカです。うん。

 

当時の僕は、女性に好意を寄せられていても鈍感で、人間関係において超慎重派な性格でした。しかも僕は身長が低く童顔で、威圧感が無いのもあってか、異性の友人が多い方だったので 「きっとあの子も僕を友だちとして好きなんだ」と思っていました。

 

卒業式の翌日、京都への大学進学を決めていた僕は、フラれてもいい覚悟で本当の気持ちを伝えてから北海道を出ようと思い「好きでした」とメールしました。メールかよ!と過去の自分にツッコミたくなります。最後くらい直接会って伝えろよ!と。

 

彼女からメールが返ってきました。文面を見ると「ズルいよ」と書かれていたのを覚えています。彼女から「ごめんなさい」「じょん君にはもっと相応しい人がいるよ」と呆気なくフラれるのを予想していた僕は、恋愛経験値の低さから、頭が混乱状態になりました。

 

「ズルいよ」の意味が直接聞きたくて、それと、やっぱり自分の思いを改めて直接会って伝えたいと思い、会う約束をしました。どこで会ったのかは忘れましたが、2時間半に1本しか出ていない田舎路線の電車に乗って会いに行ったのは覚えています。

 

実際に会って、なまら緊張する中で思いを直接伝えた結果、彼女の本当の気持ちを知ることができました。そして、これから超遠距離恋愛がスタートすることをお互い覚悟の上、付き合うことになりました。「ズルいよ」の意味は、ご想像にお任せします。

 

僕が北海道を出るまでに彼女と2人でデートしたのは、なんと一度きり。一緒に電車に乗り、どこにでもあるような喫茶店でお茶をして、お喋りしながら町を歩いて、また一緒に電車で帰る、というだけ。

 

僕はあの頃から君が気になってた」とか「付き合えて本当に嬉しい」とか、自分の気持ちばっかり吐き出すようなデートになってしまった記憶があります。相手の気持ちを考える余裕はなく、緊張して固まりそうな自分のことで手一杯になっていましたね。

 

それでも心が大きい彼女は、そんな僕の話を笑顔で優しく受け止めてくれました。デートの別れ際には「これからしばらく会えないんだね……」と涙を流してくれたことも思い出に残っています。僕の高校生活における青春は、卒業後にやってきました。ギリギリいっぱい。

 

僕らの遠距離恋愛の果て。

 

というように、遠距離恋愛をスタートさせた僕たちでしたが、別れは実に呆気ないものでした。北海道を離れてからも彼女と定期的に連絡は取り続けて、大学の夏休みに帰省した時に久しぶりに再会し、遊びに行ったりしましたが、僕と彼女のピークはそこまで。

 

夏休み中の帰省を終えて京都に戻り、大学生活が更に充実していく中で、連絡を取る回数が日に日に少なくなりました。そして連絡を取らないまま1ヶ月以上の月日が経ち、僕から「別れよう」と伝えた記憶がモヤモヤとありますが、ほぼ、自然消滅的に関係が終わったと認識しています。涙もありませんでした。

 

ただただ、遠距離恋愛の難しさを強く感じました。僕から何かしらの行動を起こしたら、関係はもう少し続いたのかもしれませんが、人間的に至らない部分が今以上に多かったあの頃の自分には、それができませんでした。

 

pinky-media.jp

 

遠距離恋愛ソング、聞こう。笑

 

『秒速5センチメートル』の解釈 

 

秒速5センチメートル」の話に戻ります。

 

第1話の「桜花抄」

 

東京の小学校に通う遠野貴樹と篠原明里は互いに「他人にはわからない特別な想い」を抱き合っていた。小学校卒業と同時に明里は栃木へ転校してしまい、それきり会うことがなくなってしまう。貴樹が中学に入学して半年が経過した夏のある日、栃木にいる明里から手紙が届く。それをきっかけに文通を重ねるようになる2人。


しかし中学1年の終わりが近づいた頃に、今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まった。鹿児島と栃木では絶望的に遠い。「もう二度と会えなくなるかもしれない……」そう思った貴樹は、明里に会いに行く決意をする。約束をした3月4日、関東では大雪となり、貴樹の乗った列車は途中で運転を休止する。貴樹には停まった電車の中で運行再開を待つことしかできず、時間だけが流れていった。

 

『ウィキペディア (Wikipedia)』から引用

 

この作品からヒシヒシと伝わってくるのが、男の恋愛は「名前を付けて保存」で、女の恋愛は「上書き保存」だということ。第2話「コスモナウト」で、第1話で特別な思いを抱いていた女の子との文通は途中で途切れても、ポストをチェックしたり、出す宛てのないメールを打っていた主人公の行動は、一見、未練がましく思えます。

 

文通が途切れた理由は、映画での登場人物の心情を細かく描いた小説でも詳しく語られることは無かったですが、何となく分かります。どんなに仲が良かった人でも、遠くに行って環境が変わって、人間関係における接点も変われば、連絡すら取ることが無くなってしまうことがありますよね。

 

まさに自分と高校卒業後に付き合った彼女との関係のようだ……笑

 

この作品でも、彼女が彼のことを好きじゃなくなったからではなく、ただ自然消滅的に文通が終わったと解釈しています。第3話(最終話)まで見ると、少年時代に思いを寄せていた子が忘れられず、恋愛も仕事も上手くいかなような日々を送っているように見えて……僕がこの作品を初めて見た時は、ひどく切なさを感じました。

 

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電車が通り過ぎた後の踏切の向こう側に、彼女はもういませんでした。 少し残念そうな顔をしている主人公を見ると、また胸が痛みますね。しかし、彼の本当の気持ちが小説版で明らかになっていました。

 

この電車が過ぎた後で、と彼は思う。

彼女は、そこにいるだろうか?

 

どちらでもいい。

 

もし彼女があの人だったとして、

それだけでも十分奇跡だと、

彼は思う。

 

この電車が通り過ぎたら前に進もうと、

彼は心を決めた。

 

小説「秒速5センチメートル」から引用

 

彼から、新たな一歩を踏み出す強い決意を感じました。その頃の彼は、大学卒業後勤め続けてきた会社を退職、3年付きあった彼女にフラれた後で、またイチから始めていこうという気持ちが生まれたと解釈しています。

 

他にも、映画には映されていなかったものの、主人公は大学入学後からそれなりに恋愛をして、楽しい日々を過ごして、失敗して落ち込んで、学業も、バイトも、卒業してからの仕事も懸命に取り組んで生きてきた様子が小説では描かれていました。

 

彼は、日本中にありふれた普通の若きサラリーマンその一でした。ただ少し、人より内向的で、ずっと何かを追い求めているような……そんな思いは誰もが持っていると、僕は思います。何かを探し求めている……その答えを分かりやすく表現したのが「君の名は。」でしょうか。秒速とはまた違った良さがありますね。

 

『秒速5センチメートル』を今振り返る

 

この作品を今、無職の自分が読み返した理由がありました。それは、主人公が大学卒業後に就いた職種と、自分がこれから就く職種が同じだったからです。

 

彼が就職したのは、三鷹にある中堅のソフトウェア開発企業だった。SEと呼ばれる職種だ。配属されたのはモバイルソリューションの部署で、通信キャリアや端末メーカーが主なクライアントで、彼は小さなチームで携帯電話をはじめとする携帯情報端末のソフトウェア開発を担当した。

 

プログラマという仕事は彼にはとても向いていた。それは孤独で忍耐と集中力を必要とする仕事だったが、費やした労力は決して裏切られることはなかった。記述したコードが思惑通り動かない時は、原因はいつでも疑いなく自分自身にあるのだ。思索と内省を積み重ね、確実に動作する何かー何千行にも及ぶコードを創りだすことは、今までにない喜びを彼に与えた。仕事は忙しく、帰宅はほとんど例外なく深夜で、休日は月に五日もあれば良い方だったが、それでもコンピューターの前に何時間座っていても彼は飽きなかった。

 

小説「秒速5センチメートル」から引用

 

自分との戦い」という一面が強いのが、プログラマという仕事。きっと僕も就業後は余裕のない日々を送り、ブログやSNSを更新する機会が減って、野球の試合も見れない日々も続くのかな。それでも自分の好きな場所で、自分のための時間を過ごせるように、一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。

 

 

と、ここまで「秒速5センチメートル」のOSTや山下達郎の「one more time, one more chance」を聞いて作品に入り込みながら記事を書いていたのですが、今の自分ではどうにもできない過去の失敗や未来の不安が次々と浮かんできたのは何故だろう。音楽と歌詞が切なすぎるせいだ。主人公は最後に前を向いていたけれど、やっぱこの作品、心が締め付けられる切ない鬱映画やんか。最高だぜ。また見よう。

 

One more time,One more chance

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